はじめに

クレマチスを趣味とされている方は多数おられますが、その大多数は既存品種の育成が中心です。中には、他家受粉または自家受粉で自然と出来た種を播いて、新種を創出しようとする方もおられますが(=選抜育種)、積極的に交配し、得た種を播き、新種を創りだそうとする方(=交雑育種)にはほとんどお会いしたことがないので、少数派であろうと考えております。

 

そんな状況下で、市販の本やインターネットの情報を頼りに一人で考え、試行を重ね、約10年間クレマチスの交雑育種を継続して来た結果、交配したクレマチスの本格的な開花が始まり、「世界に一つの花が咲く楽しみは極上のものである」と思い始めるに至りました。そして、是非この交雑育種の楽しみをクレマチスの愛好家に広め、今まで経験されたことのない「極上の楽しみ」を味わっていただきたいと考えるようになりました。

 

それで、この世界に気軽に足を踏み入れて頂けるよう、我流の交雑育種法をまとめ、公開してみようと思いついた次第です。この育種法は決してベストなものではなく、選択肢の1つと捉えていただければ良いと思っております。初めての体験ですから、不明点も出てくるものと思います。その場合は、当ホームページのお問い合わせフォームをご利用ください。この場が「意見交換広場」のように機能することを願っています。

 

一方、少数派とは言え、何十年も前からクレマチスの交雑育種を実践されている方もおられるものと推測します。すでにご自身の方法を確立されているベテランさんの目には、間違いだらけの方法と映るかも知れません。忌憚のないご意見、ご指摘を頂ければとても参考になりますし、必要に応じてこのページの情報を修正し、誰でも気軽に、効率的に、クレマチスの交雑育種を楽しんで頂けるようになることが私の本望であります。

 

第1話ではクレマチスの交配方法について述べ、第2話では得られた種子を土に播き、発芽した苗を育成する方法(地播法)、第3話では種子を土ではなく水の入ったZIP袋に入れ、発芽・発根させて、得られた苗を育成する方法(ZIP播法)を説明しています。また、追補情報ではクレマチスの発芽法がユニークな地下子葉性であるというお話を掲載しています。