クレマチスの発芽
「クレマチスはなぜこのような複雑な発芽をするのですか?」
……とあちこちに問い合わせたところ、クレマチスは地下子葉性植物で、草花としては比較的ユニークなタイプであるということが判明しました。
ただし、クレマチスの中でもボタンヅルのように地上子葉性(モヤシの発芽)のものもあります。
スケッチ図21-2と図21-3で地下子葉性について説明しましょう。
図21-2は、クレマチスの種子から根、胴割および芽が成長する過程を図示しています。
ここでは理解しやすいように胴割の大きなものクリスパ×レティキュラ-タ交配品を選びました。一般的に胴割を見分けられるのは少ないのが事実です。
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発根:
種子から小さな根が出始める、これが発根である。根は逐次太くなり、長くなる。 - 胴割:
しばらくして、種子に近い根の部分に割れ目が入り始め、根の胴部に割れ目が入り、次第に大きくなってくる。 - 発芽:
胴割の根先の部分から芽が出始める、これが発芽である。
図21-3は、図21-2の最終発芽品をスタートにして種子部の種殻が2つに割れ落下し、そして胴割の先端に子葉が姿をあらわしています。
すなわち、「胴割」と言っていた部分は子葉の葉柄部であり、種子の中に子葉が存在していたのです。
子葉とは本来地上に出て光合成を行い、本葉の成長を助けるわけですが、クレマチスはそれをせずに、単に養分の貯蔵庫として機能しているのだと考えられます。地上に子葉を広げ動物などに食べられてしまうリスクを回避しようとしているのではという説もあります。
植物学的にはクレマチスの地下子葉性の発芽方式を「Hypogeous」と呼び、エンドウマメやドングリなどがこの部類に属します。これに対してボタンヅルのような地上子葉性の発芽方式を「Epigeous」と呼び、モヤシなど多くこの方式に分類されます。
別の観点から、述べたいと思います。
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胴割現象は、発根し始めた直後から始まっています。つまり、発根直後の種子に近い部分の組織がそれよりも先端の根の部分と明らかに異なり、境界線が明確に見えます。
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胴割により出来た子葉の葉柄部分は柔軟性があるため、U字型に曲げても折れることはありません。
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また、発芽品の発根部および種子部を土中に埋めると、その発芽部は自然と上を向きます。